「……これでいいのか?」
「ウフ、上出来よ」
どうやら満足のいくようなキスだったようだ。
それもそうだ、いちゃもん付けられて何回もキスしないような強いものをしたんだから。
「……約束は必ず守るわ。事件の事は一切喋らない」
それだけ聞くと、コウは本美の横を通り過ぎて出口に向かう。
その通りざまに最後の一言を漏らす。
「……由奈にもう近付かないでくれよ」
そのままコウを見送る形となった。
少しして、本美の口は妖艶な笑みを見せた。
「フフ……事件は言わないわ……事件はね……」
近くにあった戸棚を、ガサガサと物色する。
出てきたのはビデオカメラ。
「フッフ……よく撮れてる事……」
中身を確認し、それをバックに入れると早々と部屋を後にした



