「待て!!!!!」
そう言って引き止めても、どうしたらいいか言葉が浮かばない。
すると本美は立ち止まるが、振り向きもせずに呟いた。
「キスして……」
「え……?」
コウは聞き取れなかったか、はたまた自分が聞き間違えたのか、眉間にシワを寄せて聞き直した。
本美はクルッと振り返り、しっかりとした目つきで言ってきた。
「一回キスしたら、言わないであげる。それが条件よ」
キス?
思い出を作ろうと言うのか?
そんな由奈を裏切る行為は出来ない。
しかし、しなければ本美の嫌がらせが続く……
この時、本美には既に結果が分かっていた。
コウが必ずキスする事を。
それは本美が知っている事件に、秘密があったのだ。
「さあ、悩んでないで早くして。それっきりだから。……んもう、焦れったいわね。気が変わったわ、あと5秒以内にキスしないと可愛い彼女に話させてもらうわ。5……4……3……」
そのカウントダウンにより、後がない心理に追い込まれたコウは、早歩きで本美に近付き力強くキスをした。
そのまま時が経つ……
数秒後、コウはゆっくりと本美から離れた



