恋愛とは勝手がきかないもの。
どんなに望んでも、どんなに願っても、変わらぬ結果と言うものがある。
石垣はとにかく天崎と何らかの機会を設けるような作戦を取ることにした。
それしか方法がないと言えばない。
しかし、そう気持ちを入れた次の撮影の日に、待ち構えたようにいきなりチャンスが巡ってきた。
本日は天崎が先入りで別の俳優と撮影。
入れ替わりで石垣も別の撮影なので、会う事がないのは洟から分かっていた。
そんなテンションも上がりきらない撮影を、佐々木栄子と行う。
「そう言うワケだ……由奈は事件を受け入れないと決めた。頼む、もう手は出さないでくれ、この通りだ」
土下座をするコウ。
ここは社内の地下倉庫で、こんな姿を見る人は誰もいない。
そんな一世一大の頼み事も、それを哀れむでも理解するでもなく、本美はタバコをつけながら平然と答えた。
「そんな情けない姿を見せて同情を引こうっての? プライドがないのアナタには」
何と言われようとも、怒り返すつもりはない。
ここは、耐え抜くのが由奈と為と、微動だにしなかった。
「取り引きの対象にもならないわ。事件の事、喋らせてもらうわ」
そのまま去ろうとする本美。
このまま逃がすわけにはいかない



