由奈は涙を流して家を飛び出す。
前にコウに事件を忘れろと諭されたが、それを克服しないとコウと一生対等に付き合えないと思い詰めたのだ。
側にいたいのに、捨てられるのではないかと言う恐怖に似た何かに襲われ、コウにそれを話して泣いて飛び出したのだ。
突如家を出た事にコウも焦って追うが、姿を見失う。
そんな事で悩んでいるとは、コウ自身も思っていなかった。
必死になって夕暮れた街中を探すのであった。
「ハアハア……由奈!」
いつもいじけると、近くの公園でブランコに乗っている由奈を思い出し、そこへ行ってみることにした。
「ハアハア……ハアハア。……居た」
誰もいない小さな公園。
一人だけブランコで、小さく椅子を揺らしている由奈を見つけた。
「由奈……!」
名前を呼ばれてビクっとする。
コウを見ると立ち上がり、走りはしないが明後日の方に逃げ出そうとした。
ここからだ! 例の演技は!
急にコウは石垣に戻り、演技に一歩出遅れるが一気にプロ意識を取り戻し、由奈に近付いた



