「……」
布団に入って三時間後。
いつも寝る時間の一時間も過ぎているのに眠れない。
「だあぁ!! 寝付けん!!」
布団を足でひっぺ剥がすように蹴り上げ、暗闇の中体を起こした。
電気は点けない。
また寝るとき目が闇に慣れないから、部屋にあるコンポの薄明るい光を頼りに歩きだした。
シャー!
カーテンを開けると、月明かりが部屋を照らした。
角度的にもよく見えるとこであり、一気に部屋の中が全て目視できる程の光だ。
ベランダに出て、少し気持ちを落ち着けた。
「ふう……」
ここで一服すれば気持ちが落ち着くだろうが、石垣はタバコは吸わない。
とにかく呆然と月を眺めるくらいしか、する事がなかった。
綺麗なお月様。
自分の悩みなど、ちっぽけに見える。
こんな事で眠れないのなら、これからこの世界でやっていけない。
それを分かっているが……
……
何度も見上げる夜空。
見ているだけで、心が穏やかになる不思議な空間。
もう一度、寝直そうと布団に戻り、カーテンを開けたまま月に見守られて就寝するのであった



