やはり例の事件の記事が抜かされている。
その前後の日の記事はあるのに。
また前と同じ現象が起こっているのだ。
何故ない?
何故事件の事が、一切消し去られているのか。
由奈は頭が混乱してきた。
本当に自分は被害にあったのか?
実はただの事故とかで、夢にたまに見る男は、自分の描いた偶像の人物ではないのか?
それでも、証拠を隠されるのはおかしい。
おかしい。
おかしい。
おかしい。
おかしい。
由奈は机に頭を抱えながら苦しんでいると、それを見たコウは急いでやってきた。
「どうした由奈!? 大丈夫か?」
背中をさすり、体を真剣に労ると、由奈は顔を歪ませてコウを見上げた。
「また……ないの……」
「え……?」
「また記事がないのよ……コウ」
証拠隠滅……
その事実に、コウも何も声を掛けられなかった……



