毎日のように演技を繰り返せば、喋り方も仕草も自然とそうなってしまうものである。
撮影も今日で何回目だろうか?
家に飾られたカメラのおかげか、ただ単に慣れたのかどうか分からないが、自然体で演技が出来るまでになっていた。
物語も後半近くでもあるし、気を抜かず最後までやり抜くのが大切と、石垣はいつものように気を引き締めた。
「よーい……アクション!!」
コウは由奈の手を引き、アパートから姿を現した。
格好からして、特に遠出をするものでは無さそうであり、顔からしても遊びに行く様子でもない。
また、図書館で事件の手掛かりを探しに行くようである。
2人が出掛けると、アパートの柱の影から誰かが険しい目つきでそれを見送っていた。
「…………」
とめ吉である。
その2人の姿消えるまで、いつまでもいつまでも眺めていた



