佐々木は天崎を乗せて、石垣は自分の車で指定された店まで向かった。
着くとドーンと待ち構える、立派な料亭。
ようやく、大女優らしい店構えの所だ。
「さあ、個室予約しといてあるから行くよ~~ほら入って入って」
佐々木に言われるがまま、すぐさま店の中に入る三人。
あまり他の人に見られて騒がれるのも、嫌だから。
「わあ……」
中に入ると、綺麗な座敷に通される。
三人で使うには、少々広すぎるスペースだ。
カコーン。
目の前には鹿威しが竹の音を鳴らし、その風情を一層奏でる。
前に天崎と行った狭い個室とはえらい違い……なんて事は口が裂けても言えないが……
「由奈、お絞り。はい、佐々木さんも」
「ありがとコウ」
それを天崎は、笑顔を向けながら受け取る。
すると突然、佐々木はほっぺを大きく膨らませた。
「ぷう~~~~~~」
明らか怒っているかの意思表示。
どうしたか、恐る恐る聞いてみた。
「何があったんです佐々木さん? 俺また何かマズい事でも……」



