選抜会はあっけなく終わり、皆散り散りに帰って行く。
既に監督の姿はなく、残ったのは石垣とプロデューサーのみ。
「おめでとう。
君、こちらに付いておいで」
言われるがままその大会場を後にし、もっと小さな個室へと案内された。
「座りたまえ」
パイプ椅子に腰掛けながら、指示するプロデューサー。
一声「ハイ」と言い、石垣も座った。
ガサガサと書類を探り、机の上に出されたのは、ドラマ『パンドラのボックス』と書かれた冊子だ。
「君はこのドラマの主人公だ。
しっかりと、目を通してほしい」
(え……?え……?え……?)
ちょっと待ってほしい。
狐につままれたと言わんばかりの顔をした石垣は、話を一旦整理しようとした



