打ち合わせは早々と終了し、みんな一斉に帰って行くのを確認すると、石垣も部屋を後にした。
今日はこれ以上何もないので、真っ直ぐ家に帰る事に決め、車に乗り込んだ。
ここから車で3、40分。
小さなこざっぱりとしたアパートが、石垣の住むところだ。
これから主役を張る俳優が、住むような場所ではないが……
それでも豪勢なマンションなんかよりも、このような静かな住まいの方が自分に適している。
草木もある自然なとこが、人間がよく求める部分でもあろう。
そんな落ち着く自分の部屋に戻ると、早速配役や台本を広げた。
すぐにでも、練習を開始したかったからだ。
「うわ……
やっぱりこのキャストを見ると、気が引けるなあ…」
全員俳優女優ではなくシロートもいるが、各部門で活躍する有名人ばかりだ。
天崎優をヒロインに考えたら、少し物足りないキャスティングだが、それでもそこそこ知名度は高い。
当然、無名の自分と比べるまでもない。
「え~っと……
何々……」
指で台本をなぞりながら、1人1人の配役を確認し始めた



