「天崎君」
そう呼ばれ、何だろうと後ろを振り向いた。
「あ、羽場監督……」
そこには、今日の資料を抱えた羽場監督が手招きをしている。
何か用事だろうか?
天崎は石垣に対し、顔だけ振り向かせ軽く手を振った。
「じゃあ石垣クン。また後でね」
そう言い残すと、あっという間に去ってしまった。
…まるで、夢の中のような出来事。
あの天崎優と会話したと言う感覚が、未だ持てなかった。
「……あ! 俺も行かなきゃ!」
ボーっとしているのに気付き、慌てて後を追うかのように控え室まで小走りをした。
……
それから部屋に入り、先程の空気と変わらぬ人達と、一際目立つ天崎優とで待機する事10分。
監督やプロデューサー達が、姿を見せた。
すぐさまスタッフから台本が配られ、それを全員分行き渡ったのを確認すると、早速と説明が始まった



