どうしよう!どうしようと、そんな考えてる事を見透かしたのか、彼女は気を使ってくれた。
「ごめんなさい。途中であんな事言われるのが可笑しくて…
でも……ね?
見るまで分からなかったでしょ?
アナタが描いているのは、私の理想郷でしかないの。
実際はこんなもの。普通の人間と、変わらないわ。
案外、容易く話せるものなんだから」
そう淡々と話す彼女の言葉を聞き、心は少し緩和した。
確かにそうだ……
普通に会話が出来たのは、間違いない……
実証された事と、彼女の説得力……
流石女優なだけあり、通常の会話もハッキリ自信ある喋り方なので頭にスッと入り、簡単に理解できた。
おっと……
そう感心するばかりではなく、たまには石垣から声を発しなければいけないだろう。
挨拶も含め、石垣は声を出した。
「そう……ですね。
驚かされましたが、その論理に納得しました。
流石、天下の女優さんです。
いろいろとご迷惑かけるかと
思いますが、宜しくお願いします」
完璧だ……
完璧過ぎる程、模範的な挨拶だ。
すると、天崎は首を何度も横に振った。
「ん~固い固い! 共演者なんだし、そんなガチガチにしないの。
特に私はアナタの彼女なんだから、親しみやすくしてくれなきゃ」
彼女!?
その言葉にドキリとしたが、石垣は冷静に考え直した。
(……ああ、ドラマの中の話か……)
焦って、危うく恥をかくところであった



