「んなことないよ。テレビで見るあの天崎優だよ? まともに喋れるわけないさ。
ウチらなんかみたいに、一般のオーラしか出てない者なんかより、格が違うワケだよ格が。
はい、終了っと」
工具箱にレンチを戻し、首をコキコキと音を立て回した。
振り返り、用が済んだのでさっさと返す。
(あ~あ、初っぱなから疲れた……)
……
(ってあれ? この子、さっきと違う子のような……)
どっかで見た事あるけど、前に見たスタッフだろうか?
そう思っていると……
……!!!!!!!!
石垣は体を硬直させ、目を見開けさせた。
時が止まる……
本当に時が止まる感覚というのは、こう言う事を言うのか?
女の子は工具箱を受け取ると、にこやかに微笑んだ。
「ほら、天崎優なんて人は、大したオーラはなかったでしょ?
それは、アナタが頭の中で描いた偶像の天崎優でしかないわ。
人の意志って言うのは、その人を無駄に大きく見せてしまうものなのよ」
気付くまで時間がかかった……
目の前に居るこの人は……
天崎優本人だった……



