先に行ったコウは、海辺の近くに居た。
由奈との思い出の場所。
七年前、ちょうどここで告白をして、付き合ったきっかけの所でもある。
事あるごとに由奈とここに来ては思い出を語り、遊んだりした事が懐かしい……
最後にここに来ようと、ペアリングの指輪を捨てに来たのだ。
でも、なかなか捨てられない。
外したまま硬直し、踏ん切りがつかない状態であった。
「何してるの?」
その声にまさかと思い、コウは振り返る。
聞き覚えの声は正しく、由奈の姿がそこにあった。
「ゆ、由奈……どうしてここに?」
「私達の思い出の場所だから、きっとここに居るって思って来たの。それより何してるのかって聞いているの」
強い口調。
喧嘩腰のような言い方。
さっきまで震えていた人とは、別人のように窺わせる。
「いや……その……」
手を包み込んだ仕草を見て、由奈は近付いて無理やり開かせた



