ありとあらゆる事を話したコウは、どっと力が抜けた。
数年間、溜めに溜めた緊張の糸が切れる瞬間だった。
そのままフラリと、由奈の顔を何気に見つめた。
「由奈……別れよう。俺達は一緒に居てはいけない」
……
由奈は目を見開かせ、驚いた表情をしているが何も言えない。
長く居てはいけないと判断したコウは、その結果だけ言い残して由奈から立ち去る。
「……荷物は既に引き払ったから。安心して。今日は帰るんだよ」
元々、浮気したから出てくと理由付けで、離れる為に荷物を持ったコウ。
いつかこうなる事を予測していた為に、自分の荷物は必要以上に置かず、バック一つで出れる状態にしてあった。
まさか、事件がバレたから別れるとは思っていなかったが、どんな形であろうと好都合。
今家には石垣の物は何もない。
このまま二人会わないのが、正解である。
自分の為に、由奈を不幸に落とした事を悔やむ。
父親があんな事をし、更には今由奈を悲しみのどん底にたたき落としている。
それなら絆がここまで強くなる前に、最初から話して別れて居た方が良かった。
自分が離れたくなくて……
自分のエゴで……
長年苦しませたと思うと、涙が止まらなくて仕方がなかった。
そんな表情を見せずに、背中越しに顔を隠し、その場から行ってしまった



