~東京都一家撲殺事件~
まだ梅雨も過ぎない肌寒い時期、残忍な事件が起きた。
深夜11時頃。
近くのホームセンターで鈍器を購入した容疑者は、都内の七瀬家の裏口から侵入した。
当時、鍵が壊れていた為に侵入を許し、たまたまターゲットにされた悲劇の一家だ。
容疑者は台所に居た七瀬洋子(48)を見つけると、危険を察知した洋子さんは居間へ逃走。
しかし、興奮して追ってきた容疑者は、そのまま居間に居た七瀬幸二(49)と洋子さんを鈍器で殴りつけ、死に至らせた。
そして、家の中を無作為に徘徊していると、数分後に帰って来た七瀬由奈(20)を見つけ、同じく鈍器を振り下ろされた。
幸いな事に由奈さんは一命を取り留めたが、容疑者は逃走。
街中を血だらけで徘徊していた為に、通報を受けた警察が取り押さえ、事件が発覚した。
捕まえた際には大人しくしていたが、留置場に入ると酷く錯乱。
容疑者は、覚せい剤を使用していた都内に住む篠山健二(44)と判明。
稀に見る残虐事件と言う事で、終身刑が言い渡された。
……これが、事件の概要全てだ。
しかし、由奈はさほどショックを受けずに、事を受け止めた。
でも……
何だろうこの『別』の嫌な感じは……
若干の違和感を残しつつ、記事から本美に視線を移した。
「これが何なんですか?」
「まだ気付かないの? よく見てご覧なさい。容疑者の名前を……」



