「あ……それと」
何かを言い忘れたように、天崎は振り返る。
「昨日見たあれは前の彼氏。もう、ただの友達なんだけどね。今は私、彼氏を作るよりも演技に集中したいから……」
それだけ言って、去ってしまった。
ここは、追いかけてはいけない場面。
ストーリーが、滅茶苦茶になってしまうからだ。
石垣は天崎の居たブランコに座る。
先走った行為に、後悔していたのだ。
告白も、昨日の話も。
全部、石垣の暴走がなければ、こんな気まずくはならない。
「天崎……」
今一度自分の気持ちを確かめる。
天崎に惚れたのか。
由奈に惚れたのか。
1人でゆっくり考えるには、ちょうどいい場所でもある。
石垣は考えに考えた。
結論を出すのに、何時間かかってもいい。
これだけはハッキリさせる為に、満天に咲く夜空を眺めながら、想いを見つめ直した



