「そうだ……公園……」
前にもそこで見つけた公園。
いつものように、いじけてブランコに乗っている姿を思い浮かべた。
早速行ってみるが、そこにも由奈は居なかった。
「ハアハア……どこに居るんだ由奈」
「カット!!」
羽場監督の声が、響きわたった。
すると、そのまま石垣に近付き、言葉をかけた。
「どうした? いつもの演技が雑になっているぞ? ここのシーンは恋人を必死に探すシーンだ。もっと相手を思いやる気持ちを表現してくれ」
要は能面な顔をしているとの指摘である。
いつも通りやっていたが、石垣も言われて初めてそれに気付いた。
再び撮影が開始される。
「よーい……アクション!!」
しかし、この日のシーンでは、石垣は何回もミステイクをしてしまい、撮影は夕方まで長引いてしまった



