そんな感情がバレている事も知らず、石垣は天崎のマンションまで向かった。










その途中、車に異変が起こった。









「ん……? パンクかな?」










ペタンペタンと、いつもと違う音を醸し出しているので、丁度近くのガソリンスタンドに寄ってみる。










入るや否や、店員が行儀良く迎え入れてくれた。


いつ何時来ても、この元気な大声はたいしたものだと思う。










「いらっしゃいませ!」










「あ、すみません。パンクしちゃってるようで……見てもらえますか?」










「かしこまりました!」











見てもらうと、直ぐに店員は石垣を呼んだ。











「お客さん、タイヤバーストしていますよ。もうこのタイヤは使えませんねえ」









「ええ! 本当!?」










「ほら、ここに穴が開いてしまうと通常のパンク修理は出来ないのですよ」











店員はタイヤを見せながら、分かり易く丁寧に一つ一つ教えてくれた。











「ウチに在庫のタイヤはないですし、店もこの時間で閉まってますので、スペアタイヤに履き替えますか?」










「あ、それが……スペアタイヤがないのですよ」











去年にスペアタイヤの空気を入れようと思い付き、取り出して空気を入れたが実家に置いてあるのを、すぐ頭に浮かべた