「了解! 行ってみるよ」
そのまま手を小さく上げて、車まで行こうとした。
「あ、康クン~~」
呼び止められたので、石垣は軽く首を向ける。
「ん? 何だい?」
「焦ってもいい事はないよ~~~慎重にね~~~先輩からの指導よ」
???
さっきの撮影の事を言ってるのだろうか?
何の事か聞き直そうとすると、佐々木はじゃあと言わんばかりに笑顔で手を振った。
ここは適当に相づちを打つというとこだ。
「ああ、うん。それじゃあ」
そのまま浮き立つ気持ちを抑えるように、車で行ってしまう石垣。
先程のドラマの役と同じ様に、佐々木はボソリと呟いた。
「この間も気ぃ効かせたのに進展なかったみたいね~~~ガツガツした男の子は嫌われちゃうぞ。慎重にね~~~」
何と……
意外や意外。
人を見ていないようでいて、彼女は他の人より勘が長けているようだ。
これが、佐々木栄子の本当の凄い所であろう。
特に用が済んだので、その日は応援の言葉を最後に大人しく帰って行った



