とは言ったものの――
あれから、この部屋に残されて1人…
その台本を見て、石垣は早くも驚愕した。
(マ、マジで?
こ、この相手役って……)
キャストには『天崎優』の名が書かれ、石垣はそれを見ながら、かれこれ5分は固まっている。
何と言っても、相手は日本を代表する大女優。
相手役や出演キャストなどあれこれ考えていたが、ここでまさかあの大物女優の名が出てくるとは、想像もしなかっただろう。
天崎優……
その文字ばかり見て、微動だにしなかった。
こんな新人俳優の石垣と、いきなり対等に演技するなんて…!
こりゃあ本気で、ただ事じゃない。
考えてみれば監督も、あの知る人ぞ知る羽場監督だ。
このくらいの予想は、出来て当たり前だ。
「でも天崎優かぁ~」
ついに、独り言も出てしまい、机の上にグデ~っと身をだらけさせた。
……こりゃあ、下手な演技はできない……
そう言わんばかりに頭をボリボリと掻き、何度も何度もため息を吐いた



