でも、パパの後頭部のこぶはあたしのせいじゃない。
パパが後頭部をドアに強打したのは、興奮して足を滑らせたパパのせいだ。


「そうだ。パパだって、咲良の恋愛を邪魔するつもりはない」
「……それ、ホントに?」
「けど、もう少し家族の時間も大切にして欲しい」
「そっちが本音でしょ」
「たまにはパパだって咲良の顔を見ながら食事したいんだよ。
その代償としてなら、こんなこぶ、たいした事ない」
「だからそれ、あたしのせいじゃないし。
それに、パパだって猛アタックしてママをものにしたくせに」


パパとママの始まりは、パパの一目惚れから。

副社長って立場だったパパが、秘書を務めていたママを好きになって。

毎日のようにアプローチしたっていうのは、小さい頃からママによく聞かされてきたノロケ話。