「あ、ごめん。……八つ当たり。
だって椋ちゃん、待ってたのに全然帰ってこないんだもん。
おかげでパパにも怒られるし」


明るい声を意識して話す。


「っていうか椋ちゃんお酒くさい!
早くシャワー浴びて用意しないと遅れちゃうよ!」


ニコって笑いながら言って、椋ちゃんの腕を引っ張ってベッドから立たせる。


……けど。
椋ちゃんに触れた途端、涙がじわって浮かんできちゃって。

気付かれないように背中を向けた。


「あたし今日週番だからもう行かないとなんだ。
今日は、涼ちゃんの顔見たくてちょっと寄っただけなの」
「週番? でもまだ7時前……」
「じゃあね! 椋ちゃん。
……また今度ね」