こんな事が言いたいわけじゃないのに。
出てくるのは、可愛くない言葉ばっか。
でも。
どんなに合わせようとしても、背伸びしても。
あたしは結局子供なんだ。
聞きたい事も、言いたい事もなかなか我慢できない。
お金だって稼げないから、素敵なお店でお祝いする事だってできない。
椋ちゃんにはりついてる、香水の匂い。
感じる、大人の女の影。
その存在に自分の子供っぽさを自覚させられてるみたいで、イヤだった。
悔しかった。
「……咲良」
床を見たままぐっと黙ってると、椋ちゃんに呼ばれる。
顔を上げると、困った顔した椋ちゃんがいて……慌てて眉間に寄ったシワを直して笑顔を作った。



