近づくと、椋ちゃんがYシャツ姿のまま寝てる事に気付いた。
キレイ好きで、なんでもきちんとしてる椋ちゃん。
シャワーを浴びないで寝るなんて事、今までなかったのに……。
大変だったんだろうなっていうのが分かって、ベッドのすぐ傍にしゃがみこむ。
その時。
椋ちゃんから、お酒とは違う匂いがした。
「……香水?」
椋ちゃんがつけたのかな……。
でも、これは椋ちゃんが持ってるのじゃない。
椋ちゃんが使ってるのはチェック済みだし、あたしが間違えるわけない。
じゃあ……誰かの移り香?
身体を乗り出して、椋ちゃんのYシャツの匂いをクンクン嗅ぐ。
いつもなら洗剤の香りがする椋ちゃんのYシャツから、女物の香水の香りがした。
あたしが使ってるような、甘い香りじゃない。
大人っぽい、“女”の匂いだった。
なんで……。
昨日、誰と会ってたの……?



