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「あ、帰ってる」


翌朝、懲りずに合鍵で忍び込むと、玄関に椋ちゃんの靴があった。

もしかしたら、一晩中仕事なんじゃないかとか心配してたから、靴を見てホッとする。

上がりこむなり向かったのは、いつも通り寝室。

そーっと寝室のドアを開けて……。
いつもとは違う匂いに気付いた。

お酒くさい……。

って事は、取引先と食事とかだったのかな。
椋ちゃん、お酒は普段飲んだりしないし、忘年会とかだって断わる事が多いから。

そんな椋ちゃんが、こんなになるまで飲むなんて、仕事でとしか考えられない。

接待だったから遅かったんだ……。