テーブルには、カラフルな花と、何も置かれていないランチョンマット。
いつもとは違って飾ったテーブルが、余計に寂しく感じた。

ビーフシチューもケーキも。
椋ちゃんと一緒に食べようと思ってたのにな……。

おいしいって、喜んで欲しかったのに。


「でも、仕事だもんね」


自分に言い聞かせるように言って、カバンの中からメモ帳を取り出す。

そして、短い手紙を書いて、テーブルの上に置いた。


「27歳、おめでとう。……椋ちゃん」


誰もいない部屋。

ダイニングの明かりだけつけたまま、部屋を出た。