椋ちゃんはあたしの説明を聞いて、安心したように運転席にどかっと背中を預ける。
そして、はーっと息をついた。


「いや、見えてなかったけど……ああだからしゃがみ込んでたのか、あいつ」
「うん……でね。椋ちゃん。その、先生の事で話さなくちゃいけない事があるんだけど……」


いつ切り出そうか、もしくは切り出さない方がいいのかここ数日悩んでいたけれど。
何も知らない椋ちゃんが先生に失礼な態度を取っちゃった場合、仕事がやりにくくなってマイナスになるのは椋ちゃんだと気づいて、打ち明ける事にする。

大丈夫。椋ちゃんは冷静な判断ができる人だ。

そう自分自身に言い聞かせるようにしてから、あたしの話を待っていてくれる椋ちゃんに口を開いた。