『簡単に言えば、咲良にとって何が一番幸せなのか……。
咲良を想うからこそ、そんな事ばかり考えて、手が伸ばせなかったんだ』
あ、はぐらかした。
椋ちゃんがはぐらかしたのはすぐに分かったけど……。
でも、言われた言葉がちょっと嬉しかったから、それ以上問い詰める気分でもなくなっていた。
『あたしの幸せなんか……分かってるでしょ』
『分かってる。でも、大切だと手が出せなかったりするんだよ。
咲良より１０年も長く生きてるせいか、色々余計な事ばかり考えたりして』
『……まぁ、椋ちゃんらしいけど』
あたしを想うからこそ。
椋ちゃんが話してくれる言葉、全部がそう伝えてきてくれてる気がして。
らしくないけど、しおらしく引き下がる。
なんか誤魔化されたけど……。
それも、もうどうでもよくなっちゃって。
我ながら単純すぎるとは思うけど。
