「アンタは知らないと思うけど、葉山さんが私と付き合ってるって嘘をついた時。
アンタが走ってどっか行って、すぐに謝られたのよ」
「なんて……?」
「“嘘に付き合わせて悪い”って。ひどくツラそうな顔で。
それ見て、全部分かったの。
誕生日の葉山さんの行動とかの意味が。
“猫”が心配だから、なんて言って帰ったけど……アンタの事だったでしょ」
誕生日、須田さんの香水の移り香をさせて帰ってきた椋ちゃん。
それを忘れてなかったあたしは、家まで送ってもらう車の中で椋ちゃんに聞いた。
なんで帰ってきてくれなかったのか……。
なんで、須田さんと過ごしたのか。



