すこぶる混乱する俺はぎこちなく首を捻った。
視界に映ったのは真っ赤な髪。
微風に靡かせているその髪としたり顔で一笑してくる不良に俺は警戒心を解いた。
「よっ」片手を挙げて歩んできたのは、蓮さんだった。
ということはナンパしてきたのは蓮さんってことかよ。
冗談きついって。
「蓮さん」
声を出して気付く。
自分が恐怖のあまり震えていたことに。
蓮さんには気付かれていないみたいだけど。
「たむろ場に行こうとしたら、お前を見かけてさ。もう体はいいのか?」
あ。
俺は周囲の風景を見て、浅倉チームのたむろ場付近だとようやく理解した。
この交差点近くのビル二階ビリヤード室が蓮さんのいるチームのたむろ場なんだよな。
ぼんやりしていたからちっとも気付かなかった。
体はもう大丈夫だと答を返す。
「そっか」なら良かったと笑う蓮さんは、他の皆はどうしたのだと周りをぐるり。
俺一人で此処にいることが不思議でならないらしい。
「荒川さんと一緒じゃないのか? あんな事件があった後だ。お前を一人にするような人じゃないと思うんだけど」
「えっと」俺は言葉を濁す。
実はまだヨウ達とはあの事件以降、一度も面識がなく…、とも言えないし。
だからと言って嘘を言ったってすぐばれるだろうし。
なんて返せばいいんだ。
こういう時にノリの神様が降臨してくれたらなぁ!
ダンマリになるのも居心地が悪かったから、仕方がなく正直に話した。
ヨウ達とは別行動しているのだと。
そしてまだあの事件以降、一度も顔を合わせていないのだと。
瞠目する蓮さんはすぐ表情を戻して、「んじゃあ」有意義にナンパできるな、満面の笑みを浮かべてきた。
今度は俺が目を丸くする方だ。
いやだって蓮さん、ナンパってアータ…、キャラじゃないでしょ。キャラじゃ。



