「今度は、にらむんですか?」
訝しむように彼を眺めていたせいか、怯えたような眼差しで、こちらの顔色をうかがってくる。
私はハァ、と息をはいて、「もういいよ?、で、なに?」と聞き返した。
「実は…、専門書にはやっぱりどれも見つからなかったんです。それで、」
ぎこちなく、遠慮がちに新戸くんは後ろに隠していた何かを取り出した。
『…え、絵本?』
「そうなんです。冗談いってからかってるわけじゃないんですよ?このページ、見覚えありませんか?」
新戸くんが開いたのは、緑一面に広がる森の絵でいっぱいのページだった。
シロツメクサが咲く野原が広がって、湖に、青々と茂る木々。
そこは、人々がまさに理想とする大自然そのものかもしれない。
「この本は、<UFOがおちる森>という題名なんです」
『…、そのまんまじゃん』
「絵本なんだから捻りはいらないんですよ」
私の率直な感想に、新戸くんはわずかに口をとがらせて、そのページを指差した。