「もー聞いてよ!」


「分かりましたから、ちょっと落ち着いて」



部屋に戻ってきて早々、翼ちゃんがキャーキャーと騒ぐ。松神先生と何かあった事は一目瞭然だ。




「本当は虫も幽霊も全然平気なの、私」



「え?」


でも戻ってきた時は中々怯えていたような…。涙も出てた気がするし。




「演技してたわけよ!朝陽の前では」


翼ちゃん、計算高い女性ですね。なんて本人には絶対言えないけど。




「手くらい繋いでくれるかな~とか思ってたら、朝陽何したと思う!?」



翼ちゃんのテンションが尋常じゃない。熱でも出すんじゃないか。




「えと…何でしょう」


「抱き着いてきたのよ!彼、実は虫嫌いらしくて、変な虫見た瞬間私にぎゅって!!」





………なるほど、それは嬉しいでしょう。それはテンションも上がるでしょう。


しかし、そのノリは今のあたしにはちょいと辛いんですが!