川瀬はそこそこモテる。


告白を断るのはいつも同じ言葉。



『今はバスケが一番大事だから』



それの答えは誰に告白されても一度も揺るがなかった。


希もその事を知っていたから…

告白しようとは思わなかった。



知らなくても…


多分、言えなかった。



同じ部活に所属していながら
告白するなんてかなり勇気がいる事だし、

振られた後の事を考えると
とてもじゃないけどできなかった。



でも…


川瀬の一番大事なバスケに関われている。



それだけで嬉しかった。




『見ているだけでいい』

そんな風に思えない時もあった。




合宿で夜2人きりになった時…


「おまえの笑顔見てると頑張ろうって思えるよ」


不意にそんな事を言われて…

思わず『好き』の言葉が口をつきそうになった。




風邪で部活を休んだ時…


「おまえがいないとすっげぇ変な感じ(笑)

早く治せよ」


そんなメールに涙がでた。








それでも気持ちを伝えなかったのは…



川瀬のバスケを大事にしたかったから。


やり遂げる姿を見届けたかったから…


軽々しく告白を口にして…

川瀬のバスケに対する想いを陰らせたくなかったから…







だから


バレンタインも

誕生日も

クリスマスも…


いつも1人で過ごした。




同じ空の下にいる川瀬を想って…




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