あれからというもの…


放課後、体育館で川瀬のプレーを見る度に
自分の頭を撫でた大きな手を意識して


川瀬の姿を見かける度に
あの笑顔を思い出す…



その度に襲ってくるドキドキが

慣れないせいか
少し気持ち悪い…



誰かに聞くまでもなかった。



この気持ちがなんなのか…



自分でもなんとなく分かっていたから…





でも…


まだ確信をつかない自分の気持ちはどこか軽くて…


ふわふわと曖昧に浮かんでいる風船みたいに

少しの衝撃で割れそうで…


少しの風でどこかに飛ばされそうで…




そんな想いを抱えながらマネージャーをしている事が…

少しだけ苦しかった。





話すたびに…


触れるたびに重みを増していく気持ちが苦しかったから。



心の真ん中に居座ってしまった『好き』は

もう吹き飛ばされる軽さではなかった。



割れる脆さではなかった。






「マネージャー?

体調悪い?」


恋煩いなのか、

元気のない希を紺色のジャージを着た川瀬が覗き込む。


「いえっ!

超元気ですっ」


過剰反応した希を川瀬が笑って…


「そっか!」


希と同じテンションに合わせて返事をした後…


希の頭をポンと撫でた。










第四印象は…



『…好きな人』



楽しそうにバスケをする川瀬の姿に…


希が顔を赤くした。



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