「でも…何?」
床に着地した川瀬が希を振り向いた。
バスケ部で揃えた紺色のジャージがよく似合っている。
「…今は見るほうが好きです」
そう言った希に川瀬が最初に会った時みたいな笑顔を浮かべた。
「本当にいいマネージャーだよなっ」
川瀬の手が
希の頭に伸びて―――…
くしゃっと撫でた。
見てるだけで…
楽しかったのに…
それだけでよかったのに…
川瀬に触れられた頭には
まだ大きな手の感触が残っていて…
希の胸を締め付けていた。
第三印象は…
『大きな手』
そして…
突然希を支配した
『ドキドキ』…
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