他の部活も見学したのに
1度見た男バスの試合が頭から離れなくて…
1週間後、希は男バスのマネージャーになった。
マネージャーはやったことないし、
なにより自分も運動をしたいし…
悩みに悩んだけど、
それでも…
あの迫力に…
笑顔に…
心が捕らえられて動けなかった。
元からバスケが好きだったから
見てるだけでも楽しかった。
マネージャーの仕事も
勉強になって楽しかったし、
バスケのまた違う一面を知って面白かった。
いつもはコロコロ笑う川瀬が
コートに入ると真剣な表情になって…
シュートを決めるたびに見せる笑顔と
弾けるような汗がキラキラしていて…
他にも部員はたくさんいるのに
川瀬の周りだけが特別みたいにキラキラして…
上手いってだけかもしれない。
2年では1人だけレギュラーだったし
レギュラーの中でもいつも中心にいて…
だから…
それだけの理由なのかもしれない。
目が
追ってしまうのは…
見てるだけで楽しかったのに…
うれしかったのに…
「藤倉、ちょっと遊ばねぇ?」
練習を終えて部員がぞろぞろと帰り始めた体育館に
川瀬の声が響いた。
指先でボールをくるくるさせながら笑顔を向ける川瀬に…
希が頷いた。
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