希が川瀬に会ったのは2年前。


バスケ部の見学に行ったのがきっかけだった。


小学校からバスケが好きで
中学に入ったら絶対にバスケをやろうと考えてた。


それなのに…

希の入学した中学には男子バスケット部しかなかった。


落胆して…

他の部に入ろうと体育館を出た時…


「あ、ねぇ!

マネージャー希望??」


希を見つけてうれしそうに話しかけてきたのが川瀬だった。


「いえ…

バスケ部に入りたかったんですけど
女バスがないの知らなくて…」


急に話しかけられて
希が少し警戒しながら答えると

川瀬がフッと困ったような笑顔を浮かべた。


「つぅか…

オレ怪しまれてる?(笑)」


なんだかツボにはまったようで
おなかを抱えて笑う川瀬に

希が困った表情を浮かべていると…


少し落ち着いた様子の川瀬が顔を上げて…


「ごめんごめん(笑)

オレ、笑いのツボが広くってさ(笑)


あんなに思いっきり警戒されたの初めてだったからつい…


女バスは去年人数集まんなくってつぶれたんだ。

でもせっかく来たんだし、ちょっと男子の練習覗いていきなよ」


そう言った川瀬の目には笑ったせいで
少し涙が溜まっていた。


きれいに…

でも無邪気に笑う川瀬をなんとなく断れなくて…


希が頷いた。






『よく笑うちょっと失礼な人』



第一印象は

それだけだった。




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