言うつもりはなかった。



誰にも渡したくない。


自分のものにしたい。



そんな気持ちを持ってる事を知られたら希に嫌われる気がして…




嫌われるくらいなら

今のまま、先輩として慕ってくれてる方が幸せだと思って…









でも



卒業式当日、


校門で自分の前に飛び出してきて


『第二ボタンくださいっ』


赤い顔をしながらそう言った希を見た時…




川瀬の感情が溢れ出した。




『オレだけのものにしたい』


そんな感情が川瀬の心を支配した。




「勝負に勝ったらな」



クラスの女子に奪い取られてボタンはもうないのは知っていた。



でも…

いつかみたいに負けるつもりなんかなかった。


ボタンなんかで希との関係を終わらせるつもりなんかなかった。




勝って…


告白する。




自分が3年間勝負かけてきたバスケで勝って…


『オレと付きあって』









藤倉…



頼むから頷けよな?







試合前のような緊張を感じながら…



第二体育館まで人混みを逆らって進む。





後ろの希を気にしながら…








…FIN…

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