希の手から放たれたボールが…
キレイな円を描いてリングにぶつかって…
「…マジ?(笑)」
リングをしばらくクルクル回ってから網を揺らした。
「入った…」
2人して信じられないといった様子でリングを見つめて…
川瀬が希を振り向いた。
「…負けたよ(笑)」
そう笑って自分の学ランを拾い上げて希に歩み寄る。
言わなきゃ…
言わなきゃ…
再び希の心臓が暴れだして…
希が目をぎゅっとつぶった。
「…っ」
「あっ…
ごめん、藤倉(笑)
ボタンねぇや」
告白しようとした瞬間、出鼻をくじかれて…
でも川瀬の言葉にはっとして顔を上げる。
希の目に映ったのは
3番目までボタンのなくなった学ランだった。
だから3番目まで外してたのか…
さっき校門まで歩いてきた川瀬を思いだして
希が頭を落とした。
「…代わりにさ
これやるよ」
川瀬の言葉に
希ががっくりと落とした顔をあげた。
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