よろよろと、瀬良は工房へ入ってくる。あたしは、じっと瀬良を見つめた。 コホンコホン、また咳をする。 再び、顔を両手で覆って肩を震わせて泣いている。声を上げて泣いている。 瀬良、瀬良。 どうしよう、あたしは何もできない。足で歩いてあなたの側へ行き、この両腕で柔らかく、涙するあなたを包んであげたい。 耳元で名前を呼び、涙を拭ってあげたいのに。 瀬良の側に居た人間達が、当たり前にしていた事が、あたしにはできない。