作業の手を止めて、カヨの手を掴む瀬良。カヨは、瀬良の頬を手で触って、唇を寄せていった。 静かな部屋に、水音。 「……あなたがあたしを見る日が来るかしら」 閉じていた目蓋を開いて、唇を離したカヨが言う。 「なんで? 見てるよ、好きだよカヨ」 きつい目が強く開かれた。あたしも驚いた。 瀬良が自分の気持ちを口にするのを、初めて聞いたから。