あの、蘭子の手が欲しい。 名前を呼び、そして、触られるとか細く鳴く。あの声が欲しい。 瀬良の肌に食い込む爪も、体を掴む柔らかな指も、瀬良とひとつになろうとするあの肉の塊が欲しい。全てが羨ましくて、あたしの頭の中は渦巻いている。 あたしの体は、硬くて冷たいし、声も出せない。 瀬良は蘭子の胸に顔を埋めて、静かにはっきりと、言う。 「……僕に飽きたら、早めに知らせてくださいね」