月の下でキスと罰を。

 あたしが居る部屋は、大きな窓があり、太陽が惜しみなく降り注ぐ。

 いつか、瀬良が来るのではないかと思っているのだけれど、一向に来る様子がない。あたしのことを忘れてしまったのだろうか、もういらないんだろうか。

 あたしは、寂しくて悲しくて仕方がなかった。蘭子は、あたしをガラスケースから出さずに、ただ観ているだけ。せめて触ってくれたりすれば、少しはあたしの気が紛れるんじゃないかしら?

 瀬良は、あたしに目を留めれば必ず触って、話しかけてくれた。寂しくなんかなかった。

 ガラスケース越しの景色。白で揃えられた家具、緑色がイラつく観葉植物など。ただそれらしか見えない。

 昼間でも薄暗い瀬良の家が恋しかった。