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 あたしはその日も朝からカサ研でパソコンの画面に見入りながら、英語に関し研究していた。


 コミュニケーション英語の類は学部時代科目としてあったのだが、あたしは授業を受けてもよく理解できなかったのが本音だ。


 外国人の常勤講師が来て、英語の喋り方を教えてくれるのが授業内容で、あまり頭には残ってない。


 だけどあたしはその手の研究書などにも一通り目を通していた。


 ツールは違っていても、語学としては同じだからだ。


 あたしはカサ研のパソコンのデータベースでいろいろと検索を掛けながら、調べ続けて
いる。


 いずれ大学事務局に提出する修士論文や、更にその延長線上にある博士論文などを書く材料として。


 あたし自身、学部時代は優等生だったし、院でも研究を積み上げることは決して無駄じゃないと思う。


 それに浩太や美智香など、先輩研究者もサポートに回ってくれているのだから……。