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 あたしは新年度の科目登録で河西教授の授業がやたら多いと思っていた。


 河西教授は授業の際に、必ず浩太や美智香などの助手を引っ張り込んでくる。


 あたし自身、別に違和感はないのだった。


 原典を読む授業にしても、その解析を行うにしても、最近の大学院は違った手法が取られている。


 教授や准教授などが先鞭を取るのでなく、まず院生や助手などにテーマを与えて考えさせ、いろいろと意見を出させてから決めるのだ。


 あたしは最初、院に入った直後、戸惑っていた。


 学部時代は受身でよかったからだ。


 それが今は違っている。


 あたし自身、ずっと授業を受けていくにつれ、


“これが本物の学問ね”


 と思うようになった。