「だから今朝甘いにおいがしたわけじゃん」

「そんな匂いしてた?!」


美味しいよ、って祐李。答えになってないんだけど。


校則でお菓子はタブーだから、バレると不味いことになる。それだけは避けたい。


「これで植村くんのハートも掴めるといいね」

「ちょ、違……」

「違わないクセに」


ふふん、と笑う祐李は、すこし意地悪だと思うんだ。


「頑張ってきます」


バタバタと席につき始めるみんな。そっか……次は社会か。


「ファイト」


席に戻り口パクをする彼女に頬をふくらませた。