「それって、期待してていいの?」


出逢った時に似た不敵な笑みで登駕が聞くから。「えっ?…う、うん?」とどもってしまう。


「色々してくれて、嬉しかった。なんなら言うこと聞いてもいいくらい」

「じゃー聞いてもらいますかね」


「えっ」と聞き直す間もなく、駈けていく彼を放心状態で見つめた。



「猶予欲しい。――絶対に好きにさせてやるから」


ぼそりと囁かれたもんだから。くすぐったかった。

(そんなんいらないってわかるクセに……打算的……)

そして、やっぱり敵わないなぁと蹴り出されたサッカーボールを見て微笑んだ。