side:登駕


「……っそ」


携帯を握りしめたままコンクリートに拳をうち当てた。全然痛くねえ。


電話がブチられたかと思ったら今度は着信拒否かよ。メールも返ってくるし。メールまで受信拒否か。


「苛々する…俺。別にあんなこと言いに電話したわけじゃねえのに」


からかったわけじゃない。むしろ真尋は…なんていうか特別な存在なんだ。


引退試合のあと、ふたりで出ていく真尋とキャプテンを見たと聞いたのは、佐々木からだった。


「あの…真尋さん?なら輝先輩とどっかに行ったけどな」

「どこだ?」