ゆっくり深呼吸をして屋上への扉を開けた。なんか、此処にならいそうな気がした、から。 いつもより扉が重い気がする。柔らかな風が髪を揺らして思わず息を吸った。 「登駕……?」 「…真尋」 なんでここにいるんだと強い形相で見つめてきた登駕。わたしは何も言えないまま隣に座った。 「喧嘩でもしたか?」 いつもよりおだやかなテノール。それが妙に心地よくてわたしは、素直に告げる。 「輝くんってさ…彼女いたみたいなんだよね」 「………」